PEACOCKS Ring

STORY

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  「グリーントルマリンの記憶」
  
  これは石の記憶の物語。
  太古の昔、碧緑の高い山々に囲まれた湖のほとりに小さな村がありました。
  その湖は鮮やかなエメラルドグリーンに夜空の色を一滴垂らしたような幻想的な色をして、きらきらといたずらに光る水面がどこまでも広がっています。
  
  「綺麗ね。ここは神様の湖なんだわ、きっと。」
  「ええ、きっとそうよ。神様も内緒の湖ね。」
  
  弾むような声の主は、艶やかな黒髪を持つ双子の姉妹です。
  2人はまさにこの湖の水面のような輝きをその瞳に宿していました。
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  「姉さん、そういえば私この前この辺りで見たこともない色の羽根を拾ったのよ。これなんだけど…。」
  それはなんと、光る孔雀の羽根でした。
  
  「不思議な羽根だわ。そうだ、これを私たちのお守りにしましょう。きっと困ったときに守ってくれるに違いないわ。」
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  それから月日は流れ、姉は比類なき知性と勇敢さを持ち、国の政(まつりごと)の中枢を担う立場となりました。
  妹は得も言われぬ神秘的な美貌と人々を魅了する歌声が目に留まり、皇族に嫁ぐことになりました。
  しかし、立場の違いから仲の良かった姉妹はとうとう離れ離れにされてしまい二度と会うことはできなくなってしまったのです。
  
  「姉さん、次に生まれてくるときはきっと私たち、ひとつになるのよ。」
  互いに強い信頼と絆で結ばれていた姉妹は、来世こそはひとつになって生まれてくることを強く強く願いました。
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  その夜、妹がお守りとして肌身離さず持っていた孔雀の羽根はふわりふわりと舞い上がり、天に想いを届けました。
  その想いは星中に散らばり、二人の記憶は石に宿りました。
  その石はやがて深いグリーンの宝石として形成されていったのです。
  
  その後、4000年程後のことです。光る卵から二羽の小さな孔雀がその山の近くで産声をあげました。